社会福祉法人八王子いちょうの会からのお知らせ

社会福祉法人八王子いちょうの会からのお知らせ
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理事長だよりNo.47
2024-09-20
■パリ・パラリンピックで思ったこと
 パリ・パラリンピックの競技をテレビや新聞で見聞きした中で、目に留まったことや気になったことなどをいくつかお伝えします。パリ・パラリンピックで思ったことや下記の記事に関して、感想や意見をお知らせください。
 
◇実におもしろかった! 車いすラグビー
・選手には、障害の程度ごとに0.5~3.5の持ち点があり、プレイヤー4人の合計を8点以下、女子1人につき、0.5点加点する。メンバーの組み合わせがゲームをおもしろくする。また、監督の手腕でもある。 
・コート上は、あたかも「ミニ戦場」、車いすがまるで「戦車」のように見える。日本チームは4人が無駄なく連動し、それぞれの役割を果たす。持ち点0.5の倉橋選手(女子)が屈強な3.0~3.5点の男子選手の「戦車」の行く手を阻む姿は感動的だ。
・日本は、「1センチ単位の守備」が売りで、4人が同じプレーを頭に描き、個々が瞬時に判断して 連携する。岸監督は「選手は障害もそれぞれ違うし、年齢も幅広い。相手の気持ちを理解することがプレーに生きる」と互いの声掛けを大切にしてきた。

→チームプレイは、私たちの仕事にも通じませんか?
 
◇タッパー、ガイドランナー、一心同体
・タッパー~視覚障害の泳者に壁際でタッチのタイミングを棒でたたいて知らせる人。「プールの壁が近づいてもタッパーを信じて突っ込んだ」(100自由辻内選手) 「タッパーの合図を信じ、見えない壁が迫るゴールまでもスピードを緩めない。最後のもう一伸びで抜け出し、大接戦を僅差で制した。(男子50自木村選手)
・ガイドランナーは、マラソンや5000メートル等の伴走者。パラリンピックでは、要件を満たせば伴走者にもメダルが授与される。
 
→私たちも利用者さんのガイドランナー、タッパー?
 
◇視覚障害の泳者への泳法指導
 2歳で失明した、木村選手は、他の人の泳ぎを見てまねることはできない。昨年から五輪銅メダリストの星奈津美さんに指導を受け、上下動の少ない安定した姿勢で泳ぐようにするなどフォームを根本から変えた。
 
→発語の少ない・ない人とどのように通じ合うか?
 
◇夫がパートナー、コーチ、生活サポーター
・斎藤選手 (上肢障害、女子砲丸投げ・4位)
東日本大震災で自宅流失、出産後復帰。 夫は砲丸投げ選手。「家族やコーチの支えで競技を続けられた。・・・・・夫が一番寄り添って応援してくれた」 。
・鬼谷選手 (座位F53 女子円盤投げ・銀メダル)
夫は、投てきの選手。数年前からパラ競技に取り組み、ともに世界を目指してきた。「パラのスタジアムの景色を一緒に見ることができてよかった」。
・ 広瀬選手 (弱視 女子57キロ級・金メダル)
東京大会でやり残し感あり、3年間競技にかけてきた。夫は、柔道でパラリンピックに出場した。「良いコーチであり、一番の心の支えであり、最高の旦那さん」。
 
→「妻のために」は、「自分たちのために」だろうか?
 
◇恩師の励まし言葉 円盤なき恩師へ届け
新保選手(脳性まひ 男子円盤なげ)が、中学時代に円盤投げを勧めてくれた恩師の言葉:
・「新保は左半身がちょっと使いづらいだけや」 
・「新保なら(パラ競技の投てき種目の日本記録)全部塗り替えられるんとちゃうか。絶対にパラリンピックに出場できる」 ・「日本代表になって。ジャパンのユニホームを俺に見せてくれ」 
・「一念通天~やってやれないことはない」 (先生が考案)陸上部のスローガン
・厳しかったけど、先生のおかげでずっと楽しく陸上を続けられた。
                                               
→励まし言葉、まずは、励まそうという気持ちから
 
◇母の一喝 つかんだ未来
 久保選手( 男子100背・銀)は、思春期の頃、ほぼ動かない左腕を人に見られるのが嫌で水泳を諦めかけていた。救ったのは、母親の厳しくも愛情あふれる一言だった。 「なんでこんな手で生まれたの?お母さんに僕の気持ちはわからない。水泳なんかやめる」。突然の息子の言葉に驚きながらも、あえて強い口調で返した。「やめたら何が残るの?障害がある子としか見られないよ。可能性ある未来を自分でつぶすの?」    
 
→日常生活でよくある話。大事なこと。どう言う?
 
◇女子マラソン走者と伴走者 ゴール直前失格
・女子マラソンで、道下選手は4位でゴールしたが、3位のスペインの選手がゴール直前で失格したため、銅メダルを獲得した。そのスペイン選手は、 42キロをともに走ったガイドランナー(伴走者)がゴール直前、脚がふらついて転びかけたのを支えようとして一瞬、ガイドロープを手放してしまったため、失格となった。    
 
→このとき2人は、どんな会話をしただろうか?
 
◇心に響いたことば
・スタッツマン(米、パラリンピックの顔、アーチェリー金)
「両腕のないやつが金メダルをとったんだよ。それを思えば、人に限界なんてないことが分かる。何かに秀でる、それが自由をくれるんだ」。家族が見守るなか、表彰台の中央で涙にくれた。

・マルクス・レーム (独、男子走り幅跳び義足64 パラリンピック4連勝)
「以前、もし健常者の脚をあげると言われても、自分は断ると語っていた。積み上げてきた努力と経験は、何にも代えがたいから」だという。違いを超えた社会を目指す、王者としての誇りがそこにある。

・杉浦佳子 (自転車女子ロードレース、パラリピック連覇、54歳)東京大会で、金メダリストの最年長記録樹立。
「最年少記録は二度と作れないけど、最年長記録はまた作れる」と、笑顔で語った。今大会でその記録を更新した。

・富田選手 (男子400M自、視覚障害・銅)
銀メダルに届きそうだったが、そんなことを気にする様子もない。「僕に色はどうせ見えないので」 自身の成長ぶりを示す一つの証しが胸元にあるだけで、十分に満足そうだった。
 
※上記の引用の出典:読売新聞
 
 
 
理事長だよりNo.46
2024-08-20
■中堅職員研修報告書を読んで
 
 中堅職員研修(「福祉施設職員のストレスケア」)の報告書を読んで、今回も大変参考になりました。ご自分が中堅として、中堅研修に参加しているという意識の高さが報告書から伝わってきました。ストレスは、誰にでもあり、人間関係が大きく作用するとのこと。「人と人との間にストレスあり」、ということは、ストレスを増やすのも減らすのも人であると言えます。(そう簡単ではないと思いますが・・・・・)風通しのよい職場では、職員がストレスを感じることが少なく、やる気が引き出され、各々の力を発揮しやすくなります。一方、ストレスが多い職場では、個々の職員は、力を発揮しづらく、職員間の結集も困難で、チームの力も弱まる、といった傾向になります。ストレスの少ない職場の方が、仕事をしていて楽しい。ストレスフリーの職場をめざすには、自分たちの職場は自分たちの手で良くする、という職場全員の共通認識と各員の努力が必要です。以下に報告書の一部をご紹介します。
 
・チェックリストで実施してみて、(中略)自分で気づけるものと周囲が気づくものがあるなと思いました。特に本人が真面目に頑張り過ぎているときなどは、いかに周囲がフォローできるか、ストレス・メンタルケアは、皆で行うものだなと感じます。そして、遠慮して声をあげづらい新人、責任から我慢しがちなベテラン、その間で適切、適度なサポートをするのが中堅スタッフの役割。とはいえ、そこに奔走してストレスにならないようセルフケアも必要になりますね。 支援スキルの悩みについて、自分でも思い当たるとき、何より救いになるのは、支援方法の正解よりも悩みを打ち明けられる、互いに助言、サポートし合えるような職場の雰囲気だと実感しています。(中略)利用者を大切に思うと同じように職場仲間も大切にする。相手を受容する。そのために自身を受容する。それが第一歩なのかなと感じます。
 
・人対人、どうしても難しい部分が多いが、緩和できる方法があることを学べた。 「困難のシェア」という話にはっとさせらた。(中略)辛かった思いや大変と感じる思いを職員間で共有できるチームを作っていきたい。自分ができていない、苦手と感じることを人に話すことは勇気のいることと思う。その勇気に対して、共有し、一緒に考えていくことで、解決までいかなくても気持ちが軽くなるのではと思った。毎日行うミーティングはそんな共有を沢山できる場にして行きたい。新人職員などが緊張したりすることなく、自分の意見を言いやすい環境作りをしていくことが中堅(リーダー)である自分の役目であると感じた。一人ひとりがより感情、困難の表現ができるチーム、職場にしていきたいと思う。そして、(中略)より多くのことをフランクに話し合え、共有できる良いチームをめざしていこう。自分に何ができるか今一度しっかり考えていきたいと思う。研修を受けた、同じ思いを抱えている仲間たちともせっかく知り合うことができたので、事業所の垣根を越えたコミュニティが生成されると良いなと感じた。法人内に飲み会サークルでも作ろうかな、なんで考えることもできた。 また、自分のストレスケアとして「休む勇気」を持ちたいと思う。休むことで迷惑がかかってしまうのではないかと誰もが思いがちだが、風邪などで休むことは誰にでもあって、お互い様であるというスタンスでいたいと思った。
 
・風通しのいい職場とは何か?を考えた。私が事業所で働き始めたとき、右も左もわからないことだらけ。高齢者の介護とは、全く違ったからだ。その時は、「見て覚えて」が暗黙の了解みたいな感じだった。先輩方の支援の対応や目線の位置、声掛け、姿勢を見て学ぶのも、いい勉強になると思った。ただ、全く福祉に関りのない人が、いきなり支援をするには戸惑いや不安が大きく、どうしたらいいのかな?と悩むだろうと思った。私は、後から入った職員には私が教えてもらったことや支援で上手くいったこと、声掛けなどを教えて行こうと思った。そして、支援をして行く中で、充実感を覚え、楽しみながら仕事をして欲しいと思った。私は、真面目に仕事をしている人、がんばっている職員を(中略)守りたいと思う。みんなが気持ちよく働くために、何でも話し合える環境・共感・協力する・思いやりの心・相手のことを考える。たくさんある。人対人。それぞれの考えも思いも支援も違うが、困っている人がいたら見て見ぬ振りをしないで声を掛け合い助け合う。利用者さんの支援に対しても、間違っている支援の仕方や声掛け、行動があったら、伝えて行く姿勢も大切だと思った。人には、体力も熱意も個人差もある。全てを完璧と考えずに出来ること・得意なことに、「いいね」を言い合える楽しく働ける職場にしたい。
 
・仕事のストレスにおいて、「職場の人間関係」と「仕事量」が高いストレス要因になっていると考えている。施設において、ほぼ毎日、同じ職員と勤務時間中はずっと一緒に過ごす。さらに、仕事の対象となる利用者の方も、まず同じ人たちが通所している。そのため、否が応でも同じ人間同士での関係が続いてしまう。それが良い関係なら問題ないが、どうしても相性が合わない人が同じ場所にいると強いストレスを感じるようになる。他に長く働いていることで、独自の「価値観」を強く持っている職員がいることがある。(中略)長く働く中でその人なりの「価値観」が形作られていくと思うが、本人が働く上でのポリシーとして価値観を持つことは大切だとしても、中には、それを過剰に人に押しつけようとする人もいる。それが施設の運営方針と合っていなかったりすると、その人が昔からいる先輩職員として強い発言力を持つことで、新しく入った職員は非常に強いストレを感じることになると思う。(中略) 幅広く仕事をこなせる器用で優秀な人ほど、多くの業務を任せられストレスを感じてしまう。同僚や先輩、後輩にも話せないという人もいるかもしれないが、普段から何でも話せるような風通しのよい環境づくりをすることで、フォローし合える状況にして行ければと思う。ストレスケアの研修は、中堅に限らず全ての職員が受けるべき研修だと思った。
 
・最初にストレスケアを聞いたときに、私は対利用者のストレスかと思っていました。利用者さんからの拒否や言葉で受けるストレスが大きく、自分の何が悪かったのか、何でそうなったのか、毎日考えています。そういったストレスは、職員同士で共有して、共感し合うことでストレスは減っていくと思っています。実際私の職場ではそのようにしています。(中略)せっかく真面目に仕事(支援)をして沢山の気づきや情報があったとしても人間関係が上手くいっていないために共有できないことはとても残念に思いました。職員同士、年数(勤務)や立場を越えて何でも話し合える環境があると、ストレスは減っていくと思いました。
 
・中堅研修ということで、新人とベテランの間にいる私たちが全体を繋ぐ大切な役割を担っていると改めて感じ、身の引き締まる思いでもあった。(中略) 私も社会に出て、色々な職場で様々な方との人間関係を経験してきたが、どこにいても職場の人間関係は苦労する場合が多い。(中略)自分が何気なく他者に行っている言動が良くも悪くも人に影響を与えることを忘れてはならない。大切なことは、自分の想いを伝え、相手の思いにも耳を傾け、相手がなぜそう考えるかを知り、お互いに尊重するストローク(人とのやりとり、交流のこと)でストレスも軽減していき、職場も良い方向に進んで行く。全く介護の経験のなかった私が入職し、これまでに悩んだ事、困った事、辛かったこと、心が折れそうになった事はいつまでも忘れない。上手くいかなくて悩んでいる時に、「誰でも最初はそうだから」「慣れれば大丈夫」と言う声掛けは好きではない。励ましのようだが、良かれと思ってくれた言葉は、本人を増々追い詰めて行く言葉と化す。なぜなら今、悩んでいるのだから。何の慰めもにも解決にもならないことを身を持って感じた。そんな体験から、もし新しい職員の方が入職してくださったらと考えると、今の職場のメンバーは新人を全力でフォローし、守る気持ちは共通である。「初心忘るべからず」は絶対だ。しかし、人手不足から仕方ないと慣れない内に一人前扱いで手放してしまう傾向があり、それが離職にも繋がってくる。本当に「最初が肝心」だ。この研修を通して、色々な思いが巡った。これからも本当の意味での協調性を職員全員で発揮し、前へ進んで行きたい。絶対に行ける。
 
・中堅職員の域に自分がいるという自覚を持って、日々の支援に入りたいと強く思いました。先生のお話の中で印象に残った点が二つありました。一つ目は、新人の職員に仕事のやり方を伝えるときに、相手が自分のやり方を否定されたと感じてしまうことがあるということ。まずは、できていることや良いことを伝えた後に「こうしたらもっと良くなるよ」という風に伝える必要があると考えました。どうしても自分が正しいと考えてしまうことが人間だれしもあるので、否定から入らないことが大切であると思いました。二つ目は、人間関係でストレスを抱えてしまうこともあるが、人を救うのも人であるということ。お互いが悩みや不安を言ったり、聞いたりできるような職員同士の関係づくりがたいせつであると感じました。私が所属している事業所では、困った時や悩んだ時にすぐに相談できる環境が整っています。(中略)私も先輩方のように後輩の職員の力になれる人材をめざしたいと思います。
 
・利用者さんの気持ちを第一に尊重し、顔色や体調を細やかに見る事に集中し、個人やその場に合った対応や支援をするのを大切に思っています。日々コンディションが変化する利用者さんへ「これが正解だ!」という支援を探すのは、とても難しいと感じているところや、利用者さんの反応や動きを待っているところに、「このようにしているから、こうするように」と支援のアドバイスがあり、同じように行ってもうまくいかない時があります。(中略)利用さんに寄り添い、信頼し合いながら共に歩むのは、職員同士でも同じで、そこには、もっと深く理解し合うことが必要とされるのではないでしょうか。信じてくれている利用者さんのために・・・に。(中略)自らが変わらなければ、他も変わりようがありません。まず、自分から少しずつ出来ることを見つけて、事業所全体が優しい空気に包まれるよう、勇気を出して、考えを発信して行きたいと思います。この勇気にしばらく時間がかかりそうです。
 
・中堅研修の職員さんは、利用者さんの特性をおおよそ把握し、自分なりの対処法を身に着けている方々だと思います。(中略)ストレスは、本来小さなうちにその都度解消していくことが望ましいので、ストレスケアは入職後すぐに定期的に行われる必要があります。話し合える環境、雑談できる環境、失敗をみんなで振り返ることができる環境などが職場につくられている必要があります。 どんな職場も結局は人間関係なので(利用者さん、職員問わず)考えの合わない人がいるのは当然のこと。利用者さんの幸せのためという大前提はありながら、めざしているものやその方法論が少しずつ違うのはむしろ当たり前のことで、本来それがよい支援に繋がる可能性も大きいでしょう。全員が同じような考え方、同じような支援をするのは、視野に偏りが生じて決して良いことだとは思いません。職場全体として方向性を統一していくことも大切ですが、一方で「それもいいかも」と新たな意見ややり方を受け入れていく柔軟性を持った職場は、職員のやる気を削がないことに繋がると思います。とはいえ、ストレスの対処は、個人の資質やそれまでの生活歴によるものが大きいと思います。自分の主張を上手く言えない、いい顔をして頑張ってしまう、不安や不満を溜め込んでしまう、被害妄想的になってしまう、といったことは本人の性格に起因するところも大きいと思います。もし本人が少しでもそういった面を自覚しているならば、自分自身でストレスの原因を分析して対処することが非常に重要と思います。(中略)ストレスの原因を解消するために今自分ができること、自分が変わることで周りも変化することはないだろうかと、考えることはとても大切なことだと思います。(中略)周りの人を大切にし、同時に自分のことも大切にしていく、そのバランスをうまく見極めながら、今後の勤務に当たりたいと思います。
 
・心の病で休養を必要とする場合でも、なかなか理解されず、甘えと捉われやすかったり、会社に伝えられず、我慢してしまう人もいるかと思います。皆がストレスケアの重要性を感じることで、休みやすい環境が整ってくるのではないでしょうか。休むことは自分自身だけでなく、会社にとっても重要なことだと教わりました。今までの考えを捨てることは難しいですが、自分と向き合い、自分を大切にして、心を整えていけるよう努力していきたいです。心が健康であってこそ、他人を想いやることができ、よりよい支援につながっていくのだと思います。
 
・一緒に働く仲間のちょっとした変化を見逃さないよう、日々のコミュニケーションを大切にし、信頼関係を構築し、相談し合える環境づくりを心掛け、働きやすい楽しい場所になるよう、中堅としての役割を改めて感じました。時間が短く、講師の話をもっと聞きたかったのと、グループワークの時間がほとんどなかったのでとても残念でした。用意されていたボールペンと用紙は何をするためだったのか、そのまま終わってしまいました。他事業所の方との交流や意見交換をする機会がなかなかない中でのグループワークの大切さを今後の課題として考えていただきたいと思います。
 
・グループワーク(GW)の時間がとても有意義でしたが、あっという間で時間が足りないと感じました。今後の研修では、講師の先生の話を聞く形だけではなく、何かの議題についてのGWを重ねる形のものもあると、他事業所の方と話すきっかけにもなり、他事業所の様子を知ることででっきるので、楽しいのではないかと感じました。
 
 
 
理事長だよりNo.45
2024-07-22
■「旧優生保護法」、最高裁「違憲」判決
 
◆戦後最大の人権侵害、旧優生保護法を巡る国家賠償請求訴訟で、最高裁は、同法を「違憲」とした上で、旧法の立法自体が違法で、国に賠償を命じる判決を下しました。恥ずかしながら、私は、これまで旧優生保護法のことを知りませんでした。こんな理不尽な法律が50年もの間、存続して、多くの被害者を出してきたこと、さらに、旧法が廃止された後も不妊手術は適法と主張し、補償もせず、最高裁まで争ったことに愕然としました。判決後、岸田総理が丁重に謝罪したとの報道がありましたが、「今になって、謝るの?」といった感じです。一方で、最高裁の判決は、救いです。
 
1.最高裁判決の骨子「旧優生保護法」とは
 旧優生保護法は1948年、戦後の食料不足への危機感を背景に、「不良な子孫の出生防止」を目的に議員立法で成立した。障害者らに強制的に不妊手術ができると規定され、96年に母体保護法に改正されるまで約2万5千人が手術を受けた。 判決は、旧法について、「障害者の出生を防止する」という目的は、当時の社会状況を勘案しても正当とはいえない」と指摘。「障害者を差別的に扱い、不妊手術によって生殖能力の喪失という重大な犠牲を強いた」として、個人の尊厳や人格の尊重をうたう憲法13条と法の下の平等を定めた憲法14条1項に反すると判断した。判決は、違憲性が明白な法律を成立させたことは国家賠償法上、違法とも判断した。国の政策として不妊手術を積極的に推進してきたことなども踏まえ、「国の責任は極めて重大」だと述べた。さらに、「国は、1996年に旧法が廃止された後も、不妊手術は適法だと主張し、補償もしなかった」と批判。 (読売新聞2024.7.4)
 
【優生保護法】(この法律の目的)
第1條 この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする。
【日本国憲法】
(第13条)すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
(第14条)すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
 
◆私が、旧優生保護法訴訟関連の報道を見聞きして、興味を持ったことは、裁判に訴えた被害者(原告)と、その人たちを支えた、親族や支援者、弁護士たちがいたことであり、それらの人たちが、最高裁から「原告勝訴」を勝ち取り、社会を変えたのです。私は、声をあげ、行動を起こした人たちが歴史を変えてきたということを再認識しました。以下に、声をあげた人たちの一部を紹介します。
 
2.声をあげ、行動した人たち(一部紹介)
・東京訴訟の原告 「北三郎」(81)
 14歳で不妊手術を強いられた北さんは、28歳の時に結婚した妻に40年以上、手術を受けたことを明かせなかった。妻が病気で息を引き取る直前に告白すると、「ご飯だけはちゃんと食べてね」ほほえんでくれた。妻が亡くなった後の2018年、被害救済を求めて提訴した。妻が生きていたら応援してくれるはずだと信じながら闘ってきた。それから6年。この日の判決は多くの被害者の救済につながると信じ、最高裁前で「今までありがとうございます」と直筆の旗を掲げた。「ようやく光が見えた。『勝った』」と妻も喜んでくれるはず」。妻に墓参りで報告するつもりだ。
(読売新聞2024.7.4)
 
・大阪訴訟の原告 聴覚障害のある夫婦
 80歳代の野村(仮名)と70歳代の妻花子さんは、(中略)いずれも聴覚障害のある夫婦は、手話で取材に応じ、「長い間、この結果を待っていた。ようやく不妊手術が差別だと認められた」と感慨を込めた。夫婦は1970年に結婚し、4年後に生まれた長女は間もなく亡くなった。2人目を望んだが、再び妊娠することはなかった。花子さんが長女の出産後、自分でも知らない間に不妊手術を受けさせられていたからだった。この日の朝、長女の仏前に花を供え、勝訴を願ったという花子さんは「過去は変えられないが、これからは変えられる。このような人権侵害が二度と起きない社会になってほしい」と訴えた。
(読売新聞2024.7.4)
 
・宮城訴訟の原告 知的障害があるとして
 宮城県の原告の1人、飯塚淳子さん(70代・仮名)は16歳のときに知的障害があるとして説明がないまま不妊手術を受けさせられました。のちに、実際には障害がないことが判明しました。両親の話から不妊手術だったことを知り、負い目を感じていくつもの縁談を断ったといいます。 その後、結婚したものの子どもができないことで気まずくなって離婚。その後に結婚した夫に手術のことを打ち明けると夫が去ってしまい、義理の母に離婚を迫られて実家に戻ったこともあったといいます。
(NHK ニュース 2024.7.3) 
 
・兵庫訴訟の原告 脳性まひ少女 12歳のとき
 神戸市に住む、先天性の脳性まひが原因で手足に障害がある原告の鈴木由美さん(68)は、12歳のころに突然、母親に病院に連れて行かれ、具体的な説明もないまま不妊手術を受けさせられたといいます。42歳のとき、子どもを産めない体であることを伝えたうえで、ボランティアで介助をしてくれていた男性と結婚しましたが、5年後に離婚しました。離婚の際、男性からは「子どもがいたら違ったかもしれない」と言われ、深く傷ついたといいます。
(NHK ニュース 2024.7.3) 
 
◆私は、いちょうの会で働いてから、「人権」こそが「福祉の肝」だと思うようになりました。旧優生保護法は、人が人を勝手に差別し、人が人をペットのごとく扱う法律で、人の一生を踏みにじり、多くの被害者を出しました。許しがたいことです。今回の判決は、最高裁の15人の判事全員一致の意見だったことで、救われた気持ちになりました。
 
理事長だよりNo.44
2024-06-20
■私流コミュニケーション論
 
①なぜ、ひとは、言葉を使って単純なことから複雑なことまで話し合い、理解し合えるのでしょうか?一つ例をあげて考えてみたいと思います。幼児の目の前にバナナとリンゴがあります。「バナナはどっち?リンゴはどっち?」と聞けば、それぞれを指さすでしょう。なぜ、できるのでしょう?それは、お母さんが「これがバナナ、あれがリンゴ」と教えたからです。みんながバナナ、リンゴ・・・と約束しているから通じるのです。誰かが、リンゴをミカンと何回叫んでも通じません。
 
②「意味付け」するということ
 私は、「これはバナナ、あれはリンゴ」と事物に名前を付けることを「意味付け」と勝手に呼んでいます。事物そのものは、無色透明で、意味付けして、初めて意味を持つのです。意味付けすると、モノクロからフルカラーになります。
 
③「認知」するということ
 例えば、テーブルの上に、バナナやリンゴがあるとしましょう。そこに、バナナやリンゴがあることに気付き、認知すると、バナナやリンゴはそこに在る、つまり、存在します。実験をしましょう。1分間、部屋の中を見回してから、目をつぶります。部屋に何があったか、聞かれます。バナナやリンゴを認知していなければ、「あった」と言えません。この場合、頭の中には、バナナやリンゴは存在していません。
 
④Aさんの発した言葉は、Bさんにどう伝わるか?
 Aさんが、自分の伝えたいことをBさんに対して言葉にして発信します。Bさんは、それを受信します。ここで、重要なことは、Aさんは、一旦自分の口から出た言葉をコントロールできません。なぜか?Aさんの言葉は、Bさんの頭の中で、Bさん流に意味付けされ、認知されるからです。
 
⑤なぜ、誤解が生まれるのか?
 Aさんの伝えたいことと、Bさんが受け止め、認知したことが同じであれば、誤解は生じません。相違があると、誤解が生まれます。「そんな意味で言ったわけではないのに、なんでわかってもらえないのだろう・・・」となります。
 
⑥職場での誤解を少なくするには?
 2人以上いれば、誤解は起こります。もちろん職場でも。AさんとBさんの間に共通のモノの考え方や仕事のやり方、また、職場の約束事、職場の文化などが明確であるほど、誤解が生まれる素地は減ります。誤解が生じるのは当たり前で、誤解は埋めればよいのです。有効な方法は、会話です。ザックバランで後腐れのない会話です。「雨降って地固まる」と言います。風通しのよい職場ほど、誤解の芽を摘むことができます。目くじら立てずに笑ってすませまたら、最高です。
 
⑦「どうせ、何を言ってもわからないから話をやめた!」
 何も話さなかったら、相手に言葉は届かず、会話は成立しません。コミュニケーションはそこで、終了です。指導的な立場にある人は常に慎むべきことです。また、意図して誤解を招く発言や威圧的な物言いもNGです。自分の発する言葉が相手にどのように受け止められるか、「意味づけ」されるか、注意することも重要です。自分の想いを相手に伝えよう、相手の思いを理解しようという誠意、熱意、努力が必要です。
 
以上、最後まで、面倒で小難しい話にお付き合いいただき、ありがとうございました。
 
理事長だよりNo.43
2024-02-20
■新年会でのごあいさつ
 1月20日に京王プラザ八王子で、新年会が開催されました。八王子市長、市議会議長を始め、都議会・市議会議員の方々にご出席いただきました。その際にご挨拶した内容をお伝えします。

(前略)
※新年のあいさつ、能登半島地震、来賓への謝辞
※八王子いちょうの会の歴史、事業概要の説明
 2020年1月に新年会を開催した後から、3年以上もの間、100年に一度とも言われるコロナ禍に見舞われました。利用者の皆さんも何かと制約の多い生活を余儀なくされましたが、よく耐えました。職員もがんばりました。私たちは、利用者さんのためにコロナ禍だからこそできることを見つけようと、色々チャレンジしました。例えば、2021年11月には、コロナ禍で外出が困難だった利用者さんに、思いっきり体を動かしてもらおうと、市内で一番広い、エスフォルタアリーナのメインアリーナで、全事業所の利用者と職員が集まって、創立10周年行事を行いました。その節は、石森市長にご挨拶をいただき、ありがとうございました。 (市長にお礼)また、2022年11月には、コロナ禍であっても、利用者さんの創作活動で作った作品の展示や自主製品の販売の機会をつくろうと、崎田前理事長が運営なさっている、にしはちスポーツジムで、「みんなのアート作品展」を開催しました。私は、どんなに困難な状況にあっても、利用者さんと一緒にできることを見つけて、一緒にやってみて、一緒に感動することが大事だと思います。職員の皆さんが、明るい笑顔で、元気にあいさつし、楽しい笑い声が溢れている限り、いちょうの会は、大丈夫だと思っております。私たちは、利用者の皆さまによりよい支援を提供し続けるために、存続して行く必要があります。私は、その決め手は、支援員がチームで、利用者一人一人に対してどこまで深く、強く、想いを馳せることができるかであると考えています。私が申し上げるのも何ですが、八王子いちょうの会は、真面目に支援を行っていると、自信をもって言えます。八王子で一番、熱く、本気で支援に取り組んでいる障害福祉サービス事業者になりたいと思います。今年も、ご来賓の皆様のご指導とご支援を心よりお願い申し上げます。
 
■中堅研修報告書を読んで
 昨年12月8日に中堅研修を開催しました。受講された皆さんから提出された報告書を読みました。その一部を掲載します。
 
・コミュニケーションとは、①情報の伝達・共有、②思いの伝達・共有。 この2つを通じて、相互理解と信頼関係が構築される。コミュニケーションがうまくとれないと信頼関係が築けない。

・コミュニケーションにおける、言語、聴覚、視覚の影響の割合を明らかにした心理学上の法則にメラビアンの法則がある。言語7%、聴覚38%、視覚55%で人が誰かと会ったときに受ける表現効果の違いにより、印象を決定づける。

・言語コミュニケーションには、2種類ある。「言語」と「非言語」コミュニケーションである。言語は理解しやすいものだが、非言語は明確に受け取ることが難しいメッセージである。

・利用者さんとのコミュニケーションでは特に非言語コミュニケーションに気を付けている。表情(今はマスクをしているので、目だけ見ても笑っているとわかる表情)、話す目の高さ、手ぶり、体の向き、声の大きさ等に気をつけている。

・ただ、職員間では、面談時には意識していたが、日頃から気をつけてはいない。研修を受けて、振り返ることができた。
・研修中、「相手に喜ばれる声かけ」では6個しか書き出すことができなかった。(声かけを)意識的に使うことで、何気ない会話で出るようにしたいと思った。

・今回の研修で自分の行動を振り返った時に、課題に気づくことができた。
☆職員に対して2種類のコミュニケーションのうち、「非言語」がおろそかになっていた。
☆相手に喜ばれる声掛けのレパートリーが少ない。
☆沈黙に意見があるとわかっていても自信の無さからなのか、先に話そうとしていることがよくある。これら課題については、日常で意識的に行動し、改善していきたい。
 
・研修の中で、プラスの言語コミュニケーションを与えられた人は、自己肯定感を持つことができ、自分の課題に挑戦する意欲を持つことができる話がありました。利用者さん支援の中で日々たくさんほめるようにし、またありがとうと伝えることで、本人が認められていると感じ、またがんばろうという気持ちがもてるようにしていますが、職員の対してもこのような視点を持ち、日々やっていかなければならいと感じました。
 
・聴き上手の5つのスキル
①表情とアイコンタクト
②うなずきとあいづち~沈黙にも意味がある
③復唱する
④質問する~☆答えが決まっていて、考えなくてもすぐに答えられる質問と☆答えが決まっていない、自由に答えることができる質問を上手に使い分けて質問する。
⑤要約~話の要点を繰り返すことで、相手の伝えたいことを整理して重要な事柄をわかり易くすることができる。

・コミュニケーションを取る際に、相手の話をききながら学んだ5つのスキルを加えながら、聴き上手に違づけるように変えていきたい。
コミュニケーションの3つの柱:
①「受容」:相手を受け止める
②「共感」:相手によりそう
③「傾聴」:相手の思いを聴く
 
・「君子は人の美を成し、人の悪を成さず。小人は是に反す」~君子は、人に長所があれば、それを完成させるために手助けをし、短所や欠点があれば、それをそっと補う。取るに足らない人物は是と反対のことをする。
 
・2500年以上も前の論語が色あせることなく、私たちの思想にささるような言葉を残しているということは、人間の本質は時が変わっても変化していないことが多いことに気づかされました。昔と違い、物質的に豊かになっているけれど、人と人との関係性は変わっていないぶん、昔の人のそういう言葉を肝に銘じながら生きていきたいと思いました。
 
・私は、人とコミュニケーションをとるのが好きですが、特に人の話をきくのが大好きです。自分のことを話したくないわけではないのですが、自分が話すよりも相手の話をきく方が私自身が何十倍も楽しくすごせるし、相手のことをもっと知ることができるので、気心を知っている方との会話以外は、相手7割、自分3割くらいの割合で話をいている気がします。
 
・先生から「傾聴」とは、相手を内面から理解するということで、こちらの聞きたいことをきくのではなく、相手の伝えたいことを聞くことです」という話がありましたが、私は相手の伝えたいことをきくというよりも自分がききたいことを相手が話してくれていたんだろうなという事を感じました。

・自分本位できくのではなく、相手が話したいことをきくことに気をつけたいです。また、八の字で座るとリラックスして話しやすいとのことでしたので、相手と打ち解けられるように座る位置にも注意していきたいと思います。

・コミュニケーションの要点として、押さえておくべきポイントがあるのは理解しながら、「何をしたら相手のためになるか」については答えが一つではないので、相手にフィットしたやり方を探っていくという点を忘れないようにしたい。

・研修の中のワークで相手を誉める言葉をどれだけ持っているか書き出す時間があったが、6個しか出てこなかった。講師の方が「普段相手をよく誉めている人ほどたくさん選択肢がある」と仰っていたが、確かに仕事をする中で自分は周りを誉めるという行動をとることが極端に少ないと感じた。その根底にあるのは、自分は誰かに誉められるために仕事をしているわけではないし、認められなくてもやるべきことをやるだけだと考えているからだと思った。誉められることでモチベーションが上がるのかについても懐疑的に感じられているので、自分が他者からの評価や称賛を得ることが仕事に取り組む動機にはなり得ない。ただ、それを周りの職員に同じように求めることは絶対にしないと心に誓っている。他職員の仕事のモチベーションを高めることは自分の責任でもあるという点をを今回の研修で得た教訓としたい。

・利用者さんがいて、同僚がいて、仕事のほとんどが他人とのコミュニケーションを必要とする、この業界には職場を明るくするコミュニケーションは不可欠だと思います。

・日々の利用者さんへの支援に加えての職員との良いコミュニケーションを実践しようとしても、忙しさと人疲れのようなものもあり、なかなか難しいものがあると思いますが、その中でも少しずつ取り入れていければと思っています。

・今回の研修では、コミュニケーションに大切な、受容・共感・傾聴がありました。その中でも、話しやすい雰囲気をつくるために、相手を受容・承認する喜ばれる声かけという話があり、実習でその言葉を考えていた時、講師の方が指摘されていたように、自分が普段からほめる言葉を話していないことがよく判りました。日々のシチュエーションを考えてほめる言葉を考えましたが、最初の出た数個のよくあるほめ言葉以外、全然出て来ませんでした。普段どれだけほめ言葉を言っていないかを思い知らされました。

・自分にはコミュニケーションに関して多くの不足している部分があることを痛感した研修でした。一番難しそうな質問については、閉ざされた質問と開かれた質問があり、これを上手に使うことで、相手との良い関係づくりをすることができるという話があったので、ほめる言葉を色々考えながら、実践していきたいと思います。

・「支援員」という職業は、まさに「コミュニケーション」を第一に利用者、職員、保護者、上司、部下等様々な人と切磋琢磨しながら過ごしていく日常です。1日8時間以上、この時間に費やすのであれば、お互いが尊重し合い、建設的で気持ちよく過ごしていきたいと思います。だとするならば、思うだけでなく、日々実践することの大切さを学びました。

・可視化された研修内容はインプットしやすく、またロールプレイを通じてアウトプットし、自分のスキルとして取り込んでいく、今回の研修は非常に意味があると感じ、即実践していこうと思いました。今後もこのような「生きた研修」を望みます。
 
■今月の言葉
 プロ選手の力量は、みんな大差はない。その中でどこまで考え、突き詰めて僅かな差をつけるか。微差が大差になる。
 
読売ジャイアンツ 川相内野守備コーチ
読売新聞 朝刊 2024.2.9
 
理事長だよりNo.42
2024-01-23
 
Happy New Year 2024!
 
笑う門には福来る
明るい笑顔で元気にあいさつ
背筋を伸ばして前を向いて歩きます
ご健康とご多幸を心よりお祈りいたします
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます
 
理事長 山川 徹
 
 
今月は、所長からの新年のご挨拶をお届けします。

~昨年の振り返りや新年の抱負・所感~
 
■令和6年は、障害福祉サービスの報酬改定の年となっており、本年4月より報酬改定が実施されます。報酬改定では、職員の処遇改善や事業所の運営面など職員にも大きくかかわる事も多々あります。生活介護事業所の東浅川と虹では、報酬改定での大きな変更があり、それについてしっかりとみんなで確認しながら事業所運営と利用者支援をしていきます。また、昨年度から行っている、いろいろな研修を今年も継続的に行い、少しでも個々の知識を増やして行き、支援に活かせてもらえればと思います。研修では、わからない事や、知りたいことが多く出てくると思います。それを、自分で調べたり、周りの職員に質問したり、研修を受けたりと、自分で勉強する環境と姿勢を常勤、非常勤職員関係なく持つことと、事業所で研修が受けられる環境が大切な事だと思います。みんなで支援力のレベルアップを一歩一歩進められたらと思います。 

東浅川・虹 所長 吉村 博之
 
 
■令和5年度は新型コロナウイルスが5類となり、感染者数も落ち着きを見せ始めました。事業所の活動としては、ほぼ例年通りの活動を再開することができました。ここ数年、行事を中止した経験の中から、各グループは、創意工夫し、楽しい活動を考えてまいりました。その経験が令和6年度で活きてくると思います。今まで以上に笑顔が溢れる事業所を目指して、職員一丸となり楽しい活動を考えていきたいと思います。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
    
東浅川副所長 廣瀬 浩章
 
 
■コロナ禍から少しずつ活動が許されるようになってきています。2027年3月までに移転を求められているみらいとしては活動を見直し、何が今のみらいに合っているのか、利用者の皆さんは何を求めているのかを見直すいい機会だと思います。利用者は確実に年齢を重ね、作業や活動の取り組みも変わってきています。今までの伝統を踏まえつつ、新たな試みをチャレンジしながら、移転を視野に入れて新たないちょう工房みらいの活動を構築していきたいと思います。さあ、どんないちょう工房みらいになっていくのか楽しみです。また、何よりも利用者も職員も健康で楽しい1年になるように。

みらい所長 後藤 宏文
 
 
■私自身、齢五十路を重ねるにつれ、年々体力の低下、疲労・気力回復速度の低下を痛感しております。更に昨年より半年以上に渡り足の怪我の後遺症が続き、関係各位の皆様には多大なるご迷惑をお掛けしております。今年は先ずは怪我の回復に努め、その上でここ数年の怠惰で贅肉のつきまくってしまった身体と心のシェイプアップを第一の目標としたいと思います。健全なサービスの提供には先ずは運営・管理者、支援員側が健康で、明るく元気な姿勢の維持が不可欠であると考えます。支援者・利用者共に明るく過ごせる一年になる事を希望します。 
        
そら所長 大村 直
 
 
■2023年は、長年実現したいと思っていた「音楽活動」「スポーツ活動」をはじめることができました。年々職員さんそれぞれの自主性・独自性・個性が生き生きとゆぎの活動に反映できるようになってきて、共に過ごしている利用者さんの自信に満ちた表情、楽しそうな表情を見て嬉しく思っています。この一年もそれぞれの長所を生かし、苦手なことはおぎない、柔軟に新しいことをとりいれつつも、これまで築いたことはしっかりと重ねて、職員さん・利用者さん共に健康かつ互いに人として成長できる日々を慈しんで過ごしていきたいと思っています。

ゆぎ所長 土渕 幸
 
 
■コロナ禍で行動制限がある中、新たに始まった活動(調理実習・創作活動)や行事(ハロウィンパーティー・ハイキング)では、利用者さんの新たな一面を見る事が出来ました。2024年度、まずはコロナ前の活動も戻していきたいです。 「年1回の宿泊訓練と週1回のプールの再開。」昨年の夏、4年ぶりに陵南プールへ行きその時の利用者さんの表情がとてもよかったこと、又利用者さんから「旅行はいかないの?」等の宿泊訓練を楽しみにされている声が何度も上がっていました。利用者さんの要望を聞き職員で相談しながら、みんなで「通所が楽しい事業所」を作っていきたいです。

ぎんなんの家所長 梅澤 恵子
 
 
■手をつなぐ親の会時代から入職し、まる26年が経ちました。5つの事業所で勤務させて頂き、たくさんの利用者さんと触れ合ってくることが出来ました。「職員が楽しくなければ、利用者さんは楽しくない。」という気持ちで、職員も快適に仕事ができるよう、利用者さんも快適に過ごせるように努力してきたつもりです。昨年は自身が節目の年齢となり、体力の低下などが気になるところです。また利用者さんも年齢を重ね、老化や病気などに注意が必要となってきました。まずは健康第一!小さな変化を見逃さず、今年も利用者さんと共に楽しく快適に過ごしていきたいと思います。
 
わっしょい所長 守屋 里香
 
理事長だよりNo.41
2023-12-25
今月の特集 選択制確定拠出年金(自助努力型年金積立) 
 
・日本では1990年以降、30年以上デフレが続いて来ましたが、今年に入って、物価高などからインフレ基調に入っていると思います。インフレ下では、現金は価値が目減りします。インフレ下では、長期的な視点に立った、資産運用の検討が必要と言われている。
・私は、税制優遇措置が施された確定拠出年金は、活用を検討する余地があると考えています。特に「選択制確定拠出年金」に関心を持っています。
 
■選択制確定拠出年金とは、財形貯蓄のように希望する人だけが加入する制度です。
❶給与の中から上限の55,000円を掛金として積み立てる。 ⇒全部加入
❷給与の中から例えば10,000円を掛け金として積み立てる。⇒一部加入
❸選択制確定拠出年金を加入しない。⇒今まで通り加入しない。

※掛金55,000円(限度額)のうち、掛金は3,000円~55,000円まで1,000円単位で任意に決定できます。

※選択制DCに加入するか否かを自分で決めることができます。

※自らの選択権の中で老後資金を作る長期の時間を得ることができます。

 

■選択制確定拠出年金の主なメリット

❶税制の優遇 

 確定拠出年金の拠出金は、3つの税制優遇措置が適用されます。

 1)掛金を拠出したとき ⇒ 所得税非課税・住民税非課税

 2)資産運用で利益が生じたとき ⇒ 運用益非課税

 3)年金ないし一時金で受け取るとき ⇒一時金は退職所得扱い・年金は公的年金等控除

 ※退職所得控除例:20年積立では800万円まで非課税で受け取れます。 

 

❷社会保険料等の軽減 

 確定拠出年金の拠出金は社会保険料等の算定外の報酬扱い故、社会保険料等自己負担額の軽減を図る事ができます。

 ⇒DC掛金相当分だけ算定基礎が減る。

 

❸ポータビリティ

 選択制DC(確定拠出年金)は、転職先の企業が企業型DCを実施していなくても、個人型iDeCoで運用を続けることができます。

 ※個人型iDeCoと違い、事務手数料等の運営費用は企業が負担します。

 

私は投資を勧めているわけではありません。インフレ下で現金の実質的な価値の目減りを防ぎ、ライフプランに役立つ方策を考えている中で、選択制確定拠出年金がありました。この制度に関するみなさんからの質問や感想、意見などをお聴きしたいと思います。

 

「自閉症の僕が跳び跳ねる理由」

 

 11月20日にNHKで、「君が僕の息子に教えてくれたこと」というドキュメンタリーが放送されました。東田直樹さんが15歳の時に出版した、「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」(会話のできない中学生がつづる内なる心)という本が、ご自分の息子さんが自閉症である、作家のデイビッド・ミッチェルさんにより翻訳され、イギリス、アメリカ、カナダなどで出版されています。番組では、この翻訳本を読んだ海外の自閉症の方とその親が紹介されていました。国や言葉が違っても、この本を読んで、心が軽くなり、視界が開けたとのことなど、喜びと感謝を語っていました。この本の中から私の心に残った箇所を紹介します。

 

22章:「何かをやらされることは嫌いですか?」
 ずっと、僕たちを見ていて欲しいのです。見ていてというのは、教えることをあきらめないで下さいということです。どうして見ていてという表現を使ったかというと、見ていてくれるだけでも、僕たちは強くなれるからです。僕たちは見た目では、言っていることを理解しているのかいないのかもわからないし、何度同じことを教えてもできません。そんな僕たちですが、頑張りたい気持ちはみんなと同じなのです。だめだとあきらめられると、とても悲しいです。 僕たちは、自分ひとりでは、どうやればみんなのようにできるか全くわかりません。 どうか、僕たちが努力するのを最後まで手伝ってください。 
 
57章: 「どうしてパニックになるのですか?」
 僕たちがどうしてパニックになるのか、みんなにはわからないと思います。パニックになる原因にはさまざまなことが考えれますが、環境を整えたり本人にとって不快なことを取り除いたりしても、パニックになることもあるのです。
みんなが僕たちを理解していることのひとつに、僕たちはみんなのような複雑な感情はないと思われていることです。目に見える行動が幼いので、心の中も同じだろうと思われるのです。 僕たちだって、みんなと同じ思いを持っています。上手く話せない分、みんなよりも繊細かもしれません。思い通りにならない体、伝えられない気持ちを抱え、いつも僕らはぎりぎりのところで生きているのです。 気が狂いそうになって、苦しくて苦しくてパニックになることもあります。そんな時には泣かせてください。側で優しく見守ってください。苦しさのあまり自分がわからなくなり、自傷、他傷行為をするのをとめてください。
 
理事長だよりNo.40
2023-11-20
全体研修報告書を読んで
 
 10月20日に綿貫 愛子氏を講師にお招きして、「私の自閉症の世界~ハッピーでヘルシーでエンパワードな生き方を支える~」と題して、講演をいただきました。提出された、100件の研修報告書を読みました。大変勉強になりました。ありがとうございました。紙面の制約上、報告書のほんの一部を掲載します。
 
■研修後、始まりのあいさつで言っていた、「同じ時間・同じ場所でやる意味が少しですが、わかったような気がしました。 あの空間で感じたこと・思ったことをその場で共有することで、新しい発見も見つかることもわかりました。新人研修の時とは違い、同じ部屋のグループの職員さんがいるだけでもまた違った気持ちで研修を受けることができたのはよかったです。
 
■研修を受けての感想:専門用語が多く引用されていた内容だったので、報告書を書くにあたって、調べ直しました。特に、「ニューロダイバシティ」という話がよくわからなかったので、調べてみて、ようやっと今回の講義の内容が理解できました。
 
■研修の後に、色々と関連した事を調べている内にある先生のわかりやすい例えを見つけた。例えば、スペクトラムを「塩水」だとすると、「薄い塩味」「濃い塩味」等、それぞれ一人一人が違う個性を持っているが、「塩水」と言う点は共通している。つまり同じASDを一括りで診断されても、その人の個性や困りごとや発症した状況は違うということである。この例えは、本当に明快で、ストンと腑に落ちた。 次に「みんな違って、みんないい」という言葉が頭に浮かんだ。私たちができる支援とは何だろう?一人一人丁寧に見ていく支援が大切であり、支援者自身が支援に関する先入観を捨て決まりきった型にはめる事なく、その人の独自の能力や持ち味を生かせるような支援ができれば。障害のある人を変えようとするのではなく、その人を認めて受け入れてくれる人たち・地域。そんな関わりができ、理解が進んで、社会も変わっていけば、「発達障害者=社会にとっては迷惑をかける人」ではなく、「発達障害者=独創的な発想ができるクリエイティブな人にもなり得るのだ。そんな風にも気づきを与えてくれた研修でもあった。
 
■利用者と関わり接していく日々の生活において、利用者の立場や視点に立つ中での関わり方という事を第一に考えていかなければと感じた。今後、利用者と関わる中において自分一人の視点だけでなく、職員間で利用者一人一人の姿を共有し認識し合う中で、利用者個々に応じたより良い支援を日々実践に結びつけられるよう心掛けていきたい。
 
■今回の研修で学んだことを活かせるようにこれからも利用者さんと関わっていきたいと感じた。色々な支援方法を周りの人と一緒に考えて、少しでも利用者さんが通いやすい環境づくりをしていきたいと考えている。利用者と一緒に自分自身も成長し、色々な知識を身につけていきたい。障害がある人たちの表現の仕方が少数派という表現は良いなと感じた。障害がある人ない人が笑顔で生きていける世界が広がればよいなと感じた。
 
■先生は本人の感性や世界観を大切にし、この世界に対処できる、解決できる力を開発することが有効であると仰っていたが、その為には、利用者さん一人一人の行動やコミュニケーションを通して気づいたことを共感し、自信が持てるような支援ができるように職員間で意見を出し合うことが開発することになるだろうと思う。
 
■支援をする中で、利用者さんの一つ一つの言動の意味を考える中で、「わからない」(言動の意味、対応の仕方など)ことがあったときは、職員さんに相談をしているのですが、「本人の想い」など、そのほとんどを人伝えでしか聞いたことがないことに気づきました。もう少し、利用者さん自身の発言を私自身が受け取ることも大切だったと反省しました。支援員として働くだけでなく、もう一歩、二歩先を見据えた向き合い方をすることで本当の支援につながるのかなと思いました。
 
■研修内容で私の心に残った事は、キャリアパスと個別の(教育)支援計画で、特別支援教育とキャリア教育はリンクする必要があり、「~ができるようになる」は目標ではない。本人のキャリアを踏まえた、目標や課題の設定であること。何につながるか?本人らしくなっているのか?本人のストーりーがあることを忘れてはならないことでした。これは正にB型支援に必要な事だと思いました。先日、“支援とは「支」えて、応「援」すること。やってあげることではありません。”というお話がありました。ここにもつながって来ることでした。利用者さん一人一人を対象に考える事、本当に難しく、それがB型支援なんだ、と思いました。
 
■私がぎんなんに異動してきて、言葉がない利用者さんにどのように接して行けばいいか考えた時、3つの事に気を付けて行動していた。❶笑顔であいさつ ❷適度な距離を保つ ❸見ている方向を一緒に見る。 ❶は、どんな仕事でも当たり前のことだと思う。❷は、利用者さんにとっては、初めての人でどんな人なのかわからない不安がある。いきなり話しかけられびっくりしてしまう人もいるし、話しかけられることが苦手な方もいる。まずは、みんなの見える位置に居たり、声掛けをせずに隣に座り、穏やかな表情をし、まずは受け入れていただく事から始めた。❸受け入れてもらった後は、利用者さんが見ている場所や物を一緒に見て、その時の表情や行動を何も言わずに見ていた。利用者さんにはそれぞれの世界があり、どのような世界があるのか知るための行動だった。何気なくやっていた行動だが、先生の話を聞き、やっていたことが間違いではないことがわかったと同時に、支援者である自分の行動に意味があったんだと気づくことができた。自分の支援の中に、なぜこのようなことをしていく必要があるのか・・・言葉にしてうまく説明できないことがあり、先生の話が具体的でわかりやすく利用者さんの行動にも意味があったのだとすっきりした気持ちになれた。
 
■私は、送迎の運転手で支援員ではありません。また、支援の勉強もしておりませんので、この度の研修を受けても理解できないと思いましたが、最近、有名人が「発達障害」を告白したり、私の近くにも「発達障害」の診断を受けて、精神科へ通う人がいたりで受講することにしました。思った通り、受講内容はほとんど理解できませんでしたが、綿貫先生の話を聞いて、障害があっても、それ以上の才能を発揮して大活躍されている事に感動いたしました。
同じ「発達障害」と言われた人でも、社会の中で活躍する人と、社会活動に適合できずに精神科の医者に愚痴をこぼすだけの人がいるようです。この差がどこからくるのか少し調べて解った事は、社会で活躍している人の近くには、その人の才能を見出し励ます人がいた、という事ではないでしょうか。障害の有無に係わらず、人の悪い所はすぐに目に付きますが、良い所を見つけるには、人に徹底的に寄り添って好きになる事しかないように思います。
 
■今回の綿貫先生の研修を受けて一番考えたことは、「普通とは何か?」ということです。「普通は一般的には~」と使ってしまいがちですが、普通はその人によって違うと感じました。先生は、神経発達症は、障害ではなく神経学的少数派と仰っていました。自分の普通の基準で考えたり、言葉を発したりするのは、相手にとっては当たり前ではないのだと思うと共に、利用者の方に支援する上で気を付けて行かねばならないと思いました。
 
■今回、綿貫さんの話を聞いて非常に共感できたことが多かった。特に、「~する事で安心、安定する自己調整」 私自身が普段気持ちを切り替えるために実施している、ルーティン行動があり、不安定な自分にスイッチを入れるための行動で、そのことで安心を得ています。これって自己調整だよねって思いました。私達の行動には、すべて意味がある。と言うのは、そういう事なんだと実感しました。また、行動になるには理由がある。という部分で不安を少しでも解消するためなんだという事がハッキリ分かりました。そして、障害ではなく特性だというお話から、ひょっとして皆が普段、気づかずにやっているクセなどは、自己調整に当たる行動なのではないだろうかと思えました。自身がそう思ったことで安心したのと距離感が縮んだように思え、うれしさを覚えました。共同注意や質問事項現象のお話なども共感できる部分があり、そういう事ってあるよねって思わず呟いている自分がいました。支援者として勿論知識などをこれから勉強していかなくてはいけませんが、これから沢山のことが共感できるのではないかと思います。 利用者さんにも共感の思いが伝わるような支援ができたらうれしいなと思いました。
 
■私自身の話になるのですが、性格的に心配性で不安になることも多く、仕事に行くまでのルーティンなどが崩れることを恐れる傾向を持ち合わせています。先の見通しの立たないことにも強い不安を覚えたりします。利用者さんの不安とは比べものにならないと思いますが、利用者さんの中にもルーティンを大切にしている方や見通しをつけてお話をする必要のある方がいらっしゃって、私自身の中では健常者であろうとなかろうとそれは個人個人の中にあるものという認識にたどり着きました。綿貫先生のお話しの中の「私たちの行動にはすべて意味がある」という言葉が印象に残っていて、私の中の大切な言葉になりました。
 
■これまでの自閉症支援として、障害を克服し、定型発達の水準を達成することを長らく求め続けてきたという話があった。それは、言い換えれば、定型発達の価値観を強要し、自閉症(ASD)の人たちの自我を殺してきたとも表現できると思う。障害や機能不全は矯正や支援の対象と見てしまいがちだが、必ずしもそうではなく、個々の多様性を尊重した上で、障害当事者自身で自分が受ける支援を選択できる機会を提供することが大切である。我々が利用者さんに提供する「支援」が利用者さんの人生を豊かにできる可能性がある一方、その逆に作用する恐れもあることを忘れずに、自分の仕事が、誰かの人生を背負うかもしれないものだ、という責任感を抱きながら職務に当たりたい。
 
~今月のことば~
 支援員にも心があります。利用者さん一人一人にも心があります。発語のない利用者さんにも心があることを忘れないようにしたいです。MH
 
社会福祉法人 八王子いちょうの会
 
理事長 山川 徹

 
 
理事長だよりNo.39
2023-10-20
今月の話: 「意思決定支援」について
「意思決定支援」について知りたいと思い、研修会(主催:日中連・GH連合)に参加しました。
主題は、「意思決定支援の基本的な考え方」で、副題が「だれもが私の人生の主人公は、私」でした。
障害の有無に関係なく、誰にとっても、「私が私の人生の主人公であるためには、私のことは私が決める」ことは、当たり前です。 
 支援者は、「本人」(利用者)の意思決定を支援するという極めて重要な役割を担っています。
 
【質問】 講義開始早々、次の質問がありました。
 知的障害があり、グループホーム(GH)に暮らすFさんは、ある日突然、「犬を飼いたい」と訴えてきました。Fさんの気持ちを考えた時、あなたの考え方に近いのは、①②③のどれですか? ③は、空欄で、埋めてください。
※このGHは、ペットを飼うことを禁止しています。  
① GHでは犬は飼えないことを説明し、説得する。 
② GHにお願いして、犬を飼えるようにしてもらう。
③ 
 
 
➋ 【回答】 ③の空欄に入るのは、「犬を飼いたい」という真意を探り出して、それに合った対応をする、でした。   
 Fさんの場合、③の対応で、解決できたとのこと。実は、Fさんは、ペット犬が欲しかったわけではなく、 GHの敷地内に他人が入ってくるのが怖くて、「番犬」を飼いたいと、訴えていたのです。 その後、GHの入り口に扉をつけて施錠することで、満足して、もう「犬を飼いたい」とは言わなくなったそうです。
※研修会レジメ  厚生労働省 「ご本人らしい生き方にたどり着く意思決定支援のために」(2022年)2頁より
 
❸【私見】 私が考えたこと
  • 私は、上記の質問に対して、①に手を挙げました。
  • 意思決定支援の基本的な考え方は、「本人には決める力がある」 「意思決定に正解がないのが、正解」という前提で、本人と係るとのことでした。
  • 言葉でうまく表現できないからと言って、本人に意思や思考力がないと決めつけるのではなく、意思を持っていても、それを伝えるのが苦手なのだろう、と考える。 本人の真の思いにたどり着くために、色々と工夫してみる。本人の真意をどこまで導き出せるかは、支援者の技術、技能が必要で、さらに、本人を思い遣る気持ちや支援に対する熱意が必要だと思う。
  • 私たちは、利用者から発せられる様々な情報(言葉づかい、表情、ふるまい、感情等)を感知・察知するセンサーを身に着け、その感度を高める努力が必要である。支援では、一人の利用者を多面的に理解する必要があり、センサーは、1個ではなく、多様なセンサーが必要になる。従って、多様な支援者がチームで、係わった方がよい。
  • また、「意思決定支援に正解がないのが、正解」ならば、一人の支援者が担当するのではなく、チームで行うべきと思う。
 
 
 
研修報告書   by UK
「令和5年社会福祉事業者人権研修Ⅰ」(主催:東京都福祉局生活福祉部)
 私たちの仕事である障害者支援は、サービスの内容や提供の仕方によっては、利用者さんの権利を侵害する危険がある。利用者さんの生活を大きく変えてしまう仕事である。
 今まで人権研修を受講し、その度に自分の支援について振り返る事が出来た。今回の研修では、人権の他に、社会福祉事業従事者としての心構えについてもお話があり、今後、特に気を付けていきたいことが2点あった。
①自分の価値観を利用者や家族に押し付けない。
②組織の一員としての意識を持ち、コンプライアンスに沿って仕事をする。
①の事例では、「ご自宅から離れた場所で送迎をしている方に対し、大雨が降っていたので大変だと思い、玄関前まで送迎したら、家族からクレームが来た」という内容だった。ご家族は、福祉サービスを利用していることをご近所に知られたくないので、あえて離れた場所で送迎をお願いしていたとのことだ。良かれと思ってやったことが、ただ親切の押し売りになってしまったという事例だ。 
②の事例では、「サービス外の事を頼まれ、一部の職員が実施してしまったことで、ルールに沿ってサービス提供を行っていた職員が、サービス外を断ったら『○○さんはやってくれたのに!』と怒鳴られた。」という内容だった。 人によってサービス提供の内容が違ってしまうと、利用者さんの混乱を招き、要求がエスカレートし、職員の対応が難しくなる負のループが出来てしまう。 
 支援は1人で行うものではなく、チームで行なうものである。新たな要望があった時は職員で情報共有を行い、どう対応していくか協議の上、実施し、変更が必要であればまた協議する。それを繰り返す事で、安定したサービス提供により利用者さんと職員の関係もよくなる。 
 事業所の中には、利用者、ご家族、職員、いろんな立場でたくさんの人がいる。一人一人考えや価値観は違う。その違いを認め合えるような関係を作って行きたい。
※太字は、山川が付記しました。
 
 
「支援」とは、「支」えて、応「援」すること。やってあげることではありません。
 待つのも仕事のうち
 
 
社会福祉法人 八王子いちょうの会
 
理事長 山川 徹

 
 
理事長だよりNo.38
2023-08-20
前号は、社会福祉関連の法律の変遷についてお伝えしました。
固いテーマであったかと思いますので、今回は、近頃、おもしろいと思ったことをまとめてみました。 
 
  1. 「かけた言葉で子供は育つ」「かけてほしい言葉で子供を育てる」
■ NHKラジオ番組で興味深い話を聞きましたので、 ご紹介します。
  • 「ふんわり」という番組の中の「いほこのもやもや相談室」です。人工知能研究者、黒川伊保子さんが脳科学の観点からリスナーの悩みに答えるという番組です。※9月15日(金)午前10時頃放送されました。
  • 相談者は、男性(41)で、妻(39)と子供3人の5人家族です。相談者の悩みは、妻から子供に対する、「やめろ」「あほ」などの荒い言葉づかい についてでした。
  • 回答者は、相談者からの相談にいろいろ答えていましたが、私は、次の話に興味を持ちました。
    脳科学の観点からは、「かけた言葉で子供は育つ」ということ、「いつかその言葉が子供から返ってくる」とのこと。 例えば、子供に「このあほう』とか「なんでそんなに間抜けなことをしているの」などと言っていると、いつか自分が年老いてきて、身体が動かなくなったときに、多分、その言葉で子供たちに罵倒されることになる」そうです。「いつか言ってもらいたい言葉で子供を育てると本当にそうなる」「かけてほしい言葉で子供を育てる」ことが大切とのことでした。
 
■精神科医で、作家の斎藤茂太先生の言葉を思い出しました。「人生から返ってくるのは、いつかあなたが投げた球」自分の身に起こることは、壁に投げたボールが自分に返ってくるように、過去の自分の言動を受け取っています。よいことを増やしたければ、これから投げる球は自分が受け取りたいものにして行くとよいとのことです。
 
■感想 回答者の言葉は、親と子の間だけの問題ではなく、対人関係全般に当てはまることだと思います。支援員同士でも、支援員と利用者間でも当てはまることだと思います。私も十分に気を付けようと思います。
 
2. ラグビー日本チームのスローガンは、“One Team”から“Our Team”へ
 
■ラグビーのワールドカップが始まりました。コロナ禍突入前の2019年の日本大会では、日本チームのスローガンは、“One Team”でした。今回は、“Our Team”です。
 
■全ての選手が一体となって、一つのチームを形づくるのが、“One Team”で、ワンチームになるためには、選手一人一人が、“Our Team” 「私たちチーム」という意識を強く持って、自分たちの力でチームを強くし、戦い抜くことが大事です。
 
■感想:私は、「私たちの八王子いちょうの会」を自分たちみんなでよくして行こう!という「全員参加」型の活動をめざしています。
 
3.チームは、メンバーが互いに信じあうことで、とてつもない力を発揮する。
 
■バスケットボール男子ワールドカップが8月下旬から開催され、日本チームは、1次ラウンドで、フィンランドを破り、順位決定ラウンドで、ベネズエラとカボベルデに勝利し、アジア最上位となって、自力で来年のパリ五輪の出場権を獲得した。1976年のモントリオール大会以来。実に48年ぶりの快挙となった。
 
■私は、今まで日本男子チームの試合を見たこともなく、期待もしていなかったが、今大会の試合ぶりにビックリ、あきらめない、粘りがすばらしかった。逆転勝ちで世界ランキング上位のチームを連破した。私は、毎試合興奮し、感動し、すっかりファンになってしまった。
 
■ホーバス流 「信じて」 快挙 (読売新聞9月3日)
  • ホーバス監督(東京五輪女子代表の監督で、銀メダルを獲得)が強調し続けた「信じる力」が日本バスケ界に再び勢いをもたらした。就任当初の男子代表は迷いのあるプレーもあったが、試合を重ねるごとに一体感を増した。どんな時もホーバス監督は、「このチームに自信がある」と繰り返した。監督が強調し続けた言葉は、「信じる力」。「目標を決めて、皆が信じた。最後までその気持ちを全員が持っていた。」
  • 「女子もそうだったように男子の選手たちも当初は自信が欠けているように見えた。だからこそ結構しつこく言っているんです。『信じてください、信じて、信じて』って」。
  • 米プロバスケットボール協会(NBA)でプレーする渡辺雄太選手は、「全員が勝てると信じていないと勝てない。ホーバス監督がそれを言ってくれることで、僕たちはいつも再確認できている」と言う。
 
■感想 私は、日本の選手や試合を観ていて、試合を重ねるごとに、個々の選手もチームも自信が大きくなり、いいプレイができるようになり、勝てたと思います。また、何らかのきっかけやチャンスをつかみ、波に乗れた選手が、代わる代わるヒーローとして現れました。
 感動が沖縄アリーナから日本中に広がったと思います。
「自信」は、自分を信じることであり、チームメイトを信じることです。「他信」と言う言葉はないが、他者から信じてもらっている、信じられているといった実感が自信を深めます。互いに信じあうことで、とてつもない力を引き出すことができる。自信や信頼は関係者一人一人が努力して創り出すものと思います。男子バスケが示してくれました。バスケだけではありません。私たちの日常でも起こっています。
 
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